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設立の理念と目的

 共生社会の構築を目指します。
そのために必要な「心の継承」と「人づくり」を理念とします。

~先人に学び、今に活かし、次世代につなぐ~
 私たちは、今日まで大切に培われてきた日本人の心を継承していくことが、豊かな社会づくりの基盤になると考え、その実現のために本法人を設立しました。
 江戸しぐさはその指標となり、大きな手立てとなります。
日本人の心を、共に次世代に繋いでいきましょう。

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 現代社会は様々な問題を抱えています。
インターネットの普及により直接的なコミュニケーションが気薄になり、日本人の行動様式や考え方はこれまで以上に変わりつつあります。こうしたことにより、職場や学校、家庭生活などあらゆるところで、主に対人トラブルに関する悩みや問題を抱えている人が増加し続けています。日本江戸しぐさ協会は、こうした現代の社会生活における諸問題を解決に導き円満な人間関係がもたらす共生社会の構築を目指し、そのために活躍する人材の育成を目的としています。

 先人の知恵を今に活かし、悩みやトラブルを解消して、心豊かな共生社会を次世代につなぐ――その実現のため、平成25年に本法人を設立しました。「江戸しぐさ」はその指標となり、具体的な手立てとなります。

日本人らしいの心の在り方を次世代に繋ぎ、現代ならではのさまざまな問題を解決に導いていきましょう。

江戸しぐさとは

 「江戸しぐさ」は、昭和49年に故・芝三光氏によって命名されました。
昭和30、40年代頃より提唱されてきた「江戸しぐさ」の基礎は、江戸時代のとりわけ商人を中心とした庶民の考え方と行動様式を指標にしていて、今をよりよく生きるための行動哲学です。

「江戸しぐさ」の主題は、平和でトラブルの無い共生社会をつくり上げることにあります。
江戸時代の江戸の町は、世界でも最大級の人口を誇る大都市でした。日本全国から人が集まり、使う言葉も風習や文化も異なっていたため、互いにトラブルや事故を避けるための一定のルール作りが必要とされていたのです。

 このような「江戸しぐさ」の基礎を作られたのは、江戸ゆかりの家に生まれ育った故・芝三光氏です。「江戸講」の教えや「商人しぐさ」「繁盛しぐさ」と呼ばれた江戸の町方に暮らす商人達、江戸町衆の心構えの数々を「江戸しぐさ」と命名してまとめ、当時(昭和40年代)の社会生活にマッチする形でまとめ、一つひとつにわかりやすい教えの言葉をつけてよみがえらせた始まりは芝先生でした。その現存する資料は、江戸神田寺子屋の師匠をしていた芝先生の曽祖父が、江戸講中から伝え聞いた話をまとめた「残し文」として、一社)芝三光の江戸しぐさ振興会により保管されています。
こうして、今日まで継承されてきた江戸しぐさの根幹にあるものは、江戸から現代へと脈々と流れ、次世代に語り継ぐべき大切な「日本人の心」と言えるでしょう。
 「江戸しぐさ」は、平成16年(2004年)に公共広告機構(現・AC JAPAN)のマナーCMとして一般に広まり、小中学校の教科書にも掲載されたことから、道徳的な行動規範として知られるようになりました。しかし、これは江戸しぐさの伝えているほんの一部分です。その根底には深く普遍的なこころざしが秘められています。

江戸しぐさで大切なことは

一人ひとりがプライドをもって手本となる生き方を示していくこと
    ―――― 芝三光氏

江戸しぐさは、「共生」を最大のテーマに掲げ、そのために必要な手立てを江戸の町の生き方にならい、考え方、言葉づかい、行動の全てを網羅した行動哲学=“しぐさ”として、解りやすい教えの言葉にしてまとめられています。

し・ぐ・さ に込められた思い

しぐさは、4つの字にそれぞれの意味が込められています。

思・・・心をはたらかせて考える(思考、思案、頭の中、心の中)
支・・・支え合う心、助け合いの精神
志・・・相手を思う厚意、目的を決めて動くこと
自・・・自然(しぜん、じねん)。自然の中で生かされている。みずから、自分から(する)

草(くさ)は、元々「種」の意味から、
種・・・物事のはじめ、材料となるもの→言葉や行動

「思・支・志・自」と「草(種)」は一対となり、思いと行動は同じでありたいことを示しています。江戸の生き方に学び、掲げたこれらの4つの指標を、今私たちは普遍的な知恵として現代社会に役立て実践し、心を継承していくことが共生社会構築の一助となると考えています。

では、なぜ今江戸に学ぶのか?

心の継承が共生社会構築の源となる

 現代におけるさまざまな問題を解決に導くための根幹にあるものは、『日本人の心の継承』であると考えます。
江戸時代から現代に至るまで、日本人のライフスタイルは大きく変化し、それに伴い言葉や行動、その価値観も変わらざるを得ませんでした。とりわけ昨今は、インターネット時代となりコミュニケーションの方法もweb越しに変容しつつありますが、人間関係の基本は今も昔も変わらず、リアルな対話の中で構築されていくものです。 私たちがなかなか解消できない対人関係のトラブルは、昔から人々が常に経験し悩みながら学び、乗り越えてきた歴史でもあるのです。

 そうしたなかでも、和を尊び、謙譲を美徳とし、人の気持ちを慮る日本人ならではの伝統的な価値観は変わることなく私たちのDNAのなかに自然と備わっていることも確かです。
その心豊かな国民性は各国から絶大な信頼を得ています。今、私たちは先祖から受け継いだ、この尊い預かりものを次世代へと繋ぐ使命があるのです。
江戸の知恵を学ぶことは、こうした日本人の心の根っこに寄り添い、心を継承するための手立てとなります。江戸しぐさが、日本人の心のスタンダードとして自然と共感される理由の一つがここにあるのでしょう。

経済の発展に道徳心、公共心が付随していた
江戸の働き方に学ぶ

 日本は創業から100年、200年、またはそれ以上に続く中小の老舗企業が数多くあり、世界でも稀に見る長寿企業大国を誇っています。その一方で、近年はパワーハラスメントやセクシャルハラスメント問題、外国人労働者の増加等によるや異世代間のコミュニケーションの難しさから、人間関係が主な原因となっている職場トラブルが増えています。
また、後継者不足や安全衛生管理体制の欠如による倒産危機など、企業の抱える問題は多様化しているのも事実です。
 終戦後、日本経済は高度な成長を遂げましたが、同時に育まれていかなければいけない心の豊かさは伴ってはきませんでした。むしろ、コミュニケーションは不足し、孤独化や孤立が進み、心の問題は取り残されてきました。 江戸時代の暮らしや環境は、現代と比較をしてみると決して豊かな理想郷だったとは言えません。自然災害や経済危機を幾度も乗り越え、様々な困難を抱えながら社会を発展させてきたことは現代と同じです。
 しかし、江戸に生きた人々はトラブルを未然に防ぐことでリスクを最小限に抑える“危機管理の知恵”を持っていたことが強みでした。これは、自立した精神と判断力のもと、他者の心を慮る“共生の精神”を体現することに繋がります。
 江戸時代の経済の発展には、こうした心の成長が付随していたのです。この「経済と道徳の一致」が時代を生き抜く力の源であり、あらゆる面で豊かな社会を継続させる道だと考え、江戸町方のトップ達は生き方の指標としていました。
そうした江戸時代の考え方や江戸の知恵は、“日本人に合う働き方のヒント”として、現代の日常生活にも活用することができるはずです。

江戸の知恵を活用し、
今必要な「しぐさ」を生み出し実践する

 故・芝三光氏によって体系化の一歩を踏み出した「江戸しぐさ」は、現代においても成長を続けています。
江戸の暮らしや文化に見られる先人の知恵は、浮世絵や版本などの古い資料を解読し、落語や口伝で継承されてきた「江戸しぐさ」芝三光の残し文などをひも解いていくことから理解を深めることが出来ます。これは、先人の知恵に学び現代に順応させることで、古き良き習慣や伝統的な知恵は、現代における諸問題を解決に導くヒントとなることから、人づくり、社会づくりに役立つ有用な研究となると考えています。

 次世代に「心」のたすきを繋ぐために、日常生活の中で「今必要な“しぐさ”を生み出し自らが体現していくこと」が重要となります。
「子どもは親の背中を見て育つ」という言葉にもありますが、日々の反復こそが、「心の継承」となり、安全で心豊かな共生社会を構築していくのではないでしょうか。
小さな思いやりの継続は、大きな平和の構築に繋がります。
日本人を今日まで培い、今も支えているものは、この豊かな精神性です。
各家庭、学校単位、地域ごと、企業単位等で「しぐさ」を生み出し実践していくこと――これが現代を生きる私たちが担う大切な役割だと思います。

江戸しぐさに学ぶおつきあい術
山内あやり著
「江戸しぐさに学ぶ
おつきあい術」

(幻冬舎)
江戸しぐさ恋愛かるた
山内あやり著
「江戸しぐさ」
恋愛かるた

(三五館)